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【玄米茶88】酒蔵から新たなお茶文化を【安福 愛】

今回は、兵庫県神戸市にて水出し専用有機玄米茶「88(ハチジュウハチ)」を手がける安福愛さんにお話をうかがってきました!


安福 愛さんのこれまで

大学時代、初めて日本酒の美味しさを教えてくれたのが、安福又四郎商店の「大黒正宗」、安福さんが将来嫁ぐことになる蔵元さんです。


大学を卒業後、大阪でデザインや商品企画プランナーのお仕事に就き、その後自身で会社を立ち上げるなど、現在とは全く別の業界で活躍されていました。


3年ほど前、お2人目の出産を機に会社をたたみ、安福又四郎商店のスタッフとして本格的に働くことになります。


安福又四郎商店は、神戸・灘の日本酒「大黒正宗」の蔵元で、1751年創業から“飲食を豊かに”を掲げ、日本酒作りを続けている蔵元。

これまでのキャリアを生かしつつ、新しい分野への挑戦は楽しみでもありました。


お酒が飲めないことで、食事が少し残念に。

玄米茶88の誕生きっかけは自身の妊娠でした。


お2人のお子さんが2歳差ということで、お酒が飲めない期間がとても長く、特に食事の場では辛かったそうです。


安福さんは美味しいもの、特に和食が大好きなのですが、お店に置いてあるノンアルコールドリンクはたいてい烏龍茶かジュース。


甘すぎたり炭酸が強すぎたり、お酒が飲めないことで食事が少し残念になることを初めて知ることになります。


しかしここで終わらないのが安福さん。企画プランナーの経験を活かし、一つの決心をします。


“飲食を豊かにする”を掲げる酒蔵として、ノンアルコールドリンクの開発をしようと。


着想から5年の歳月をかけた玄米茶開発

まず考えたのが、酒蔵でしか出せないノンアルコールドリンクは何なのか、ということでした。


甘酒や麹、発酵系のドリンクなど色々挑戦しましたが、料理との合わせやすさを重要視すると満足のいくものができなかったそうです。


日本酒で食事と合わせるために大切にしていた「うま味」と「キレ」をノンアルコールドリンクでも感じられることを最低条件にしているので、ハードルが非常に高くしばらく進行がストップしてしまいました。


そんな時、たまたま「夏に美味しくいただく日本酒提案」で日本酒のお茶割りを色々試していたところ、水出し玄米茶と相性が良いことに気づき、日本酒も玄米茶もお米ということに結び付くのです。


お米の割合が半分を占める玄米茶、しかも水出しのお茶は、カフェインが抽出されづらいので妊婦さんでも安心して飲める。


いよいよ安福さんの目指すノンアルコールドリンクの方向性が固まり、美味しい玄米茶作りの旅が始まりました。


理想は高く、妥協もしない

方向性が固まったら、実現化に向けて、まずは原材料の確保です。


玄米茶とは、その名の通りお米と茶葉を混ぜたもの。

水に浸した後に蒸したお米をキツネ色になってはぜるまで焙煎して茶葉と混ぜます。


通常、玄米茶に使われるお米は、飯米の中でもさらに品質の落ちるお米が使われることが多いのです。


でも酒蔵で作るなら、兵庫県が誇る日本一の酒米「山田錦」の特性をいかしたものにしたい!


水出しのお茶にするならば、米も茶葉も無農薬にこだわりたいが、無農薬・化学肥料なしで満足のいく味が出せる素材は見つかるだろうか?

そもそも酒米をいかして焙煎できる焙煎工場はあるのか?


考え出すと、山積みの問題に気が遠くなるような思いだったと述懐されていました。


しかし安福さんの「うちの酒蔵だからこそつくれる、誰でも安心して美味しく飲めるノンアルドリンクをつくりたい」という思いひとつで協力者を全国から探し、1年をかけて、満足できる素材と焙煎工場を見つけだしました。


酒蔵にしか作れない玄米茶

酒米で作る玄米茶には結果大きな利点がありました。


実は、日本酒づくりの始めの工程と、玄米茶の焙煎米づくりの工程がそっくりだったのです。高品質な日本酒造りに適した「山田錦」は酒米ならではの特性をいかされ、蒸しや焙煎の過程で、米の旨みや甘みを引き出し1粒1粒ムラなく香ばしさを引き立たせたのです。


山田錦の特性をいかしてつくった玄米茶は、お米の香ばしい香りや味わいをしっかり出すことに成功。お米が強く出るので、通常なら玄米とお茶の


比率が半々なところを、玄米茶88は茶葉の割合を増やしています。茶葉もそのお米の味わいとバランスがとれる、旨みや甘みがたっぷりつまった「新茶」として摘まれた一番摘みの有機栽培の茶葉が選ばれました。



結果、より原価の高い茶葉を多めに使う羽目になりましたが、今までの玄米茶にはない透明感ある深い味わいで、山田錦のうま味・甘味と、茶葉の香りや爽やかによるキレのバランスがちゃんと楽しめる玄米茶に仕上がっています。


ペアリングやお茶の【入り口】になりたい。

「飲食店さんには、【ペアリングの一歩手前】で幅広く活用していただきたいです。


ノンアルコールペアリング、というと知識や技術が必要と力が入ってしまい、お店側も気軽に手を出しづらいと思うんですよね。


でもこの玄米茶は、一晩水出しをするだけ。お米が料理との相性をつなげてくれるので、繊細な和食を始め、どんなお料理にも合わせやすいお茶に仕上がっています。



また一般の方には、


この玄米茶を【美味しい日本茶の入り口】にしていただけたら嬉しいです。


美味しいお茶を入れるって難しいですよね。

急須が必要だったり温度管理や淹れ方が面倒だったり。


お茶の魅力は計り知れないのに、暮らしの中に浸透していかないんです。


でもこの玄米茶は、お水にティーバッグを入れるだけでいい。


日本にもっといいお茶を気軽に楽しむお茶文化が広がってくれたら嬉しいなと思っています。」


最後に

今回は主に、和食、お寿司と合わせる「純米大吟醸」をイメージして開発してきましたが、洋食などとの組み合わせも考えて、お米に合わせる茶葉も変えて展開していきたいと考えているそうです。


すでに、お米とほうじ茶の組み合わせで開発中とのこと。楽しみですね。


安福さんの実体験から生まれた、玄米茶88。


不平不満を感じるのは、ある意味誰もができることですが、そこから一歩踏み込んで行動し実現させるのは誰もができることではありません。


玄米茶88の商品化に強い信念だけではなく、酒蔵やお茶文化への敬愛、何より人を笑顔にしたいという気持ちが詰まっています。


安福さんの思いが連綿と繋がっていくことをnolky編集部としても強く願っています。


「玄米茶88」の情報は ☛こちらから


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